2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2008/11/23(日) 21:29:15.40 ID:RQTQkZIz0
_____
. <´ ` マ
ヽ /
|-‐ __ ー--|
ー…''"~ ̄  ̄ーァ. どこもかしこもシケてる感じだお……。
r彡-',.ィ ̄ ̄~" 'ー)ソ.、
7イ〃(●) (●)/!川 これじゃ、こまちにロクなクリスマス・プレゼントはやれんのう。
| (__人__) |
/ ∩ノ ⊃ /
( \ / _ノ | |
.\ “ /_ | |
. \ /___/
3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2008/11/23(日) 21:29:37.46 ID:RQTQkZIz0
/,/ _ -――- \ \
/ // i´_. -、 `\ ヘ
/ /' r '´ マト、l ヘ
, l | マ l|\ | ヘ
,' l:ハ.l ri| エニ≠l ヘ
,' l |l , 'マニゝ ´」.斗::=キ、 | l 早く帰ってきてね、やる夫くん。
| l lメ/ _ '´f入ノ圷l::.:. . |
| l トハ y,ィf 入 、 ゞ-'ノl:|::.:.: . l | ふたりで食べるほうが、ご飯も美味しいから。
l l kヘシ 弋:ツ i |l::.:.:.: . .l:l
, :. l ヘ ` {'、 リ::.:.:. : : リ
∨ :.:V ハ _ -‐ ´ |::.:.ルレ〃
V .:.::.::¨:::ト、 `´ /ルリf´
ヽ.:.::.:.::::::::.ト>- 、 __/ l::::|
ヾ\{ヾ〈 l |;:::l
\` l / {!
_」 / \_
/ } / /´⌒丶
\________ ______________________/
O
o モワモワ
____
/⌒ ⌒\
/( ―) (―)\
/::::::⌒(__人__)⌒::::: \ あんな可愛い彼女がいるなんて、やる夫は人生の勝ち組だお……。
| |
\ /
もちろん仕事についてやる夫は嘘をついていた。
泥棒が稼業などと口が裂けても言えず、テキトーに誤魔化していたのである。
5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2008/11/23(日) 21:30:40.80 ID:RQTQkZIz0
幸せな朝を思いだしていたやる夫は、うっかり自分のシマから遠く離れ、郊外まで足を伸ばしていた。
周囲を見渡すと、やる夫の目の前には、ひときわ立派な門構えの邸宅がそびえていた。
___
_i_ _/:::|_ i |::::: i __ /ヽ\ ____________
| ヽ |:::::::: | i i::::::: i ____ |::::::i i /..:::::ヽ \i i i i i i |
_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,__,_,_,_,_,_,_,_/~\\\,\\______________; ...|
/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/ニ日ニ\\/,,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;.//ヽ
/;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/!| |/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,// ヽ\
/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/| |,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;// 三 ヽ\
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| :|王||王i |ニi ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |三三三|
ゞ;ミゞ |王|王| . || |王|王| . | |ニi |王|王| . || |王|王|. |三ノヽミゞ;;;
ソミゝ:ミゞ!LLLi .|| .'LLLLLLi. .| |ニi :.LLLLLLi || LLLLLLi |三;;;ミ;;ヽミゞ;;
;ノ:;:ヽミ;:;ミゞ;;; || i=======i====i . . . . || . . .|:ニノミヽミゞ;;;
ソ;ノ:;ミ;;ゝミ;;::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|| ̄ ̄ ̄|| ̄ ̄:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;ソミヽミゞ;;;ミゞゞ
ソミゝミゞ;;;; .. .i^^ii .i^^ii ;ノノii;;;ヽミゞ;::;;
i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄|: |i |: |i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄
.~i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i~i: |i'''''''''''''''''''''''''''''''''|: |'~i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄' ' ' ' ' ' ' ' ' ' ' ' ' ' ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
'" '':'.' . . :: : '' " ' .'' " : ' ."'
____
/⌒ ⌒\
/( >) (<)\ 番犬もいないしピッキング対策もされてない、
/::::::⌒(__人__)⌒::::: \. それでいて金の眠る匂いがプンプンする……。
| /| | | | | |
\ (、`ー―'´, / まさに、やる夫のためにあるような屋敷だお、シシシシシッ!!
 ̄ ̄ ̄
6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2008/11/23(日) 21:30:41.91 ID:Q+F23Pai0
/||ミ
/ ::::||
/:::::::::::||____
|:::::::::::::::|| || ガチャ
|:::::::::::::::|| ||
|:::::::::::::::|| ||
|:::::::::::::::|| ̄ ̄\ ||
|:::::::::::::::|| ノ ヽ_\
|:::::::::::::::||●) (●) \ お邪魔しますおー
|:::::::::::::::|| (_人_) | 誰も居ませんかおー
|:::::::::::::::||___ /
|::::::::::::::(_____ノ´||
|::::::::::::::(_ノ / . . . ||
|:::::::::::::::||/ ||
|:::::::::::::::|| ||
\:::::::::::|| ̄ ̄ ̄ ̄
\ ::::||
\||
9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2008/11/23(日) 21:33:22.78 ID:RQTQkZIz0
_____________
|__/⌒i__________/|
| '`-イ ./⌒ 三⌒\ | (誰もいないみたいだお……)
| ヽ ノ /( ●)三(●)\ |
| ,| /::::::⌒(__人__)⌒::::: \ |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2008/11/23(日) 21:33:53.98 ID:RQTQkZIz0
+ + ☆ガチャ
__ /
_____________ (( i´| |`i )) +
|_____________/| /⌒i|__|i⌒i、
| / | | | く ン 冫 +
|. | \ \ .| ____/  ̄ /)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ \  ̄ | )/)γヽ +
\ |____ )/ ̄__ノ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
やる夫は満面の笑みを浮かべながら工具をとりだした。
すばやく鍵を外すと、屋敷に侵入したのだった。
12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2008/11/23(日) 21:36:10.87 ID:RQTQkZIz0
(ヽ三/) ))
____ ( i)))
/⌒ ⌒\ ヽ \
/( ≡) (≡)\ > ) (な・に・を・盗もうかなっと!!)
/ ///(__人__)/// \' /
| |r┬-| | フウゥッ♪
\ `ー'´ / フウゥッ♪
⊂ヽ γ´ /
i !l ノ ハ |
⊂cノ´ ヽ .|
,\ ー=====≠=ーァ_\:.:.:.:.:.\:::. \ l
/:/´\二ィ /三二≧x _ \:.:.:.:.:.:. __:::. `¨ ー
l::l __  ̄ ィ'f ∧ Y´ l:.:.:/ _\:::.
!:l/-‐' トrチV U \ / ヽ',::::::.
l:.l yチハ ゝ≠' ノ l ヽ }::::::::::. だ、誰ッ!?
l:.:KVり}  ̄ """ u \┘ /:::::::::::
!:l ー/ l \:::::::::::::::::
!:.""ヽ _, - 、 l`T::::\:::::::::::
l:.ヽ ∨ \ / i::::::::::\:::::
l :.:.l\ ヽ } l::::::::::::::丶
l :.:l l \ \_ ..ノ / l::::::::::::::::::
l :.l l :\ ー ' / /\::::::::::::::
l :l l :::::>‐--‐'´:::\ / \:::::::
13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2008/11/23(日) 21:38:16.16 ID:RQTQkZIz0
(ヽ
__ ( i)))
/⌒三 ⌒\ \
/( ○)三(○)\ ) …………。
./:::::: ⌒(__人__)⌒::::\
| u. |r┬-| | (ひ、人がいやがったお……)
\ `ー´ u _/
|´ /
ノ ハ u |
⊂cノ´ ヽ .|
-/ , -- \
/ |/ _ ヽ ',
,' j l  ̄ - 、 ヘ :!
l / \ ::::\1| ::::!
! / 丶 二二二二二二三≧ |、:::l
! /,イ __ // ,.- l | l:::l
! /.:::l ´ `丶、_ヽ '- ' , ィヤTl | l/゙l ――ああ、あなたでしたか。
| ':::::::i r=云¬ミ 个トり l |/l l
| :::::::::、 」 V>イ! ゞ= '゙ l |l/ / びっくりするから、
| :::::/´_ヽ ゞ= ' '、 l レ' | 帰るときは帰ると連絡ぐらい入れてください。
| :::::ヽ l \ l〉 | |:::: |
| ::::::::::丶 二ゝ、 , --、 /:! !:::: !
| :::::::::::::::::::::::::::::.> 〈__ノ , イ:::| |:::: |
| :::::::::::::::::::::::::::::::::::::l `丶 二 イ l::::| |:::: |
| :::::::::::::::::::::::::::::/ ̄| lー| |:::: | __
/ ̄\:::::::::::::/ ヽ」 ソ||\j / \
14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2008/11/23(日) 21:41:23.86 ID:RQTQkZIz0
やる夫が嬉々として邸内を物色していると、家の主人とおもわれる女に発見されてしまった。
通報されることを覚悟したやる夫だったが、女の態度は予想外なものだった。
/ / / | l ヽ \
/ / / __ ?ヽ ? ?
/ / /,二ヽ〉 \\ !|
, ムソYf朮jハ ,こキ l|
| /ヘj| ゞツ {朮j?j/. そんなところに立っていないで、リビングにいらしたら?
| ?.〈 ノ ゞソ?
/ `T ー_- /′
/ / l \ / 食事なら、すぐにご用意しますから。
, ,' j-- 、l>-イ
/ ,' l ? ? 母様も、たいへん心配していましたわ。
/ ,' ├――,ゝ- 、
, ,' | ?`ヽ |
? l l / | l
/ l | ハ ヽ
l l lV l 丿
l l |ハ \/l
___
/ \
/ノ \ u. \
/ (●) (●) \ えっ、じゃあ、お、お邪魔しますお。
| (__人__) u. |
\ u.` ⌒´ / (誰かと勘違いしてるみたいだお……)
15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2008/11/23(日) 21:44:49.87 ID:RQTQkZIz0
/ ,, 、 、 、、 ヽ +
,' / `、\ \ || ', +
+ | / ゙、 \ ` ー- ,,,,__|| | +
+ | l ,.---\ ` ー,----、,,,|| |
| | /´ ̄ ̄ \  ̄ ̄`\!ヽ | + くすっ……、ずいぶん他人行儀なんですね。
+ |,.ヘ _Y"f兀バ` "f兀バY_,.ヘ :|
+ |ヘ、 ヘ, 辷沙 ,辷沙 '`'^ | | あなたは私の夫でしょうに。
+ ∧ <'、 ,,,,,, | ,,,,,, ||'> / | +
,' ,ヘ、___、 レ ||/ |:|
,' / | l : :\ ー--‐' /|| | | +
// .| |! : : : \ __ /: :|| イ |
+ // .| |l : : : : :| `r┴ミュ_´ | : : :.|| | || +
// |_,、_rvー-| ,ゝ--‐ ヽ!,ヘ__||‐-、_:|
|.|/  ̄/ イ /イ L__,.. マ' ,/|| '´ 」─‐-、
|/ / | | | 〈 ', / || '"´ ヽ
____
/ \
/ \ ,_\
/ (●)゛ (●) \ そ、そうだったお……。
| ∪ (__人__) |
/ ∩ノ ⊃ / (わけがわからないお。
( \ / _ノ | |
.\ “ /__| | でも、警察に突き出されなくてラッキーだったお……)
\ /___ /
やる夫はうながされるまま部屋着に着替え、女に案内されてリビングにむかった。
16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2008/11/23(日) 21:48:47.44 ID:RQTQkZIz0
//λ|.l .|ヘl゙,,ァ,-''二ニニ=ヾ-.、,,_ `゙‐-{: : : : }'´`ヽ‐-.,,_|
. }∧l. ゙ .ヘl ,/ ,r ''_,,.-─-.、 `゙ヽ ,,_ ゙''''''゙{ : : : ノ`゙''::::|
. ,/-.、 ''゙´ .//ィヾ ̄ヽ. ,r ゙ヾ:`''-.,,_`'''ヾ、::::::::::}. ……太郎さん。
. }'´`_゙.、 .ノ '1{::::o} _.二.,, |: : : ; _:_ヽ、 ゙\::::|
. ヘY;ゞ> 〈. ゞ_'',-,''゙ -─-. |: ; / _,,..゙ヾ\. \ どこまで外出していたのです?
. .}ゞ''´ ''''‐‐-´-' ⌒゙ |:/'r''ヽ .l : : `ト.、 \
. r/ 、 '' } ' ,l: : : l:|. \.\
{ ,,_,,_ .}、 / _,,. ∧ ., |l. \ヘ あなたは水無月家の人間なのですから、
_`l''=.-、 ` ' .ヽ、 ,' ´ / : l :| ノ ヾl
. `{ l. ___.`゙ヽ‐ ィ、_,,ノ' : : : : : l ' ヘl.. もっと節度ある行動お願いしますよ。
. ヘ. ヘ、 ィ'三-_─,=} .l .l /ゝ、_,,: : : ; :ノヽ }
. ヘ. ヽ_,,='-‐'''´ / l ./ ヽ,;_;,ノl'゙: : : } ,ノ
. l. {´_,,,,... .' ,.ノ .|=エ ヾl: : : /..,,_,,.. -‐''´
. ヽ __,,. -‐ ''´ ._| ゙l''‐ゝ、: :゙ヽ.
. ゝ、 ,,. --─ ''''´ _,,..-'‐''''゙´ `゙ヽ.ゝ;_-{ : : λ ,r''´ヽ
. `゙` ̄`ヾ、 ,r''´ .,.._,,.-‐'''´ ̄ ̄`l゙' rl ゝ、/: :゙Y:::ノ:,:::゙ヽ_,,
. | .l / ,.ノ´::::::::::::::::::::::::::::::::゙ヽ、ヾヽ_、{;,;,;ノヾ_''_;:r''´::::
. / l,r''.,ィ''´ : : :::::::::::::::::::::::_;;:-‐'''´ ̄ ̄::::::::::::::::::r'': : :_;,, :
____
/_ノ ヽ、\
/( ●) (●).\ わ、わかったお……
/ (__人__) u. \
|ni 7 ` ⌒´ . |n 以後気をつけるお。
l^l | | l ,/) U l^l.| | /)
', U ! レ' / . . | U レ'//)
{ 〈 ノ /
..i, ."⊃ rニ /
."'""⌒´ `''""''''
17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2008/11/23(日) 21:51:41.21 ID:RQTQkZIz0
,-――――-、 :: . . ..:: .
|十| ム==‐-‐==ソ、 ::: .. : ... :::
|十| |li||;;;;゚; ;'|l|;;;゚;o;||i、{ .. : . : . :::
ト'┤ :|k||;゚:::: ;:|l|;::.;;..;||ui| : : . :::: .
/l -ト、 |lf||;;;;;.:;;;|l|_, : ;;||,l;l} :. ::
|┼┴| |i!||;;;;;;;;;;|l|;::..'.;;||il,」 .:: . '';;;.;
|┴┬| ヾ||;;;::..;;;|l|;;;;..;:;||,ン´ : .; :: ;;
|┬┴ト----、 l二二二二二二l
斤江エエ工エエ丸 : .. .. : . :. :;;':: :
├+イ_,|_|_|_,ト-| :: ; ::: ::
|十|: ..:)ノ: )',,.:パチパチ…
|┴!:.: :(.'(;):) :';:.:|十| :: ...
=========」工|':,ヘ/Yベヾ`.|工L_===========================
:; : :: . ::: :. . ; ...
/: : :/: 人: :、: :\: : : : : : :ヽ
/: : :/: :/ \\: :丶== 、: : l
, : : /: :/ -―' \〈 ー-、Y|
|: : :l: :イ / ィ テミ l ィ テy l|
|: : :l : | ーイ レり ヾりノ〈
|: :/二` `¨ 〉 |
|: :|l 〉 "" , いまスープを温めますから。
|: :丶 ー /⌒マ /l
|: : : :`:T:\ ` ニ′/l:|
|: : : : : l: : :l` ._ /! l:| 暖炉のまえで待っててくださいな。
|: : : : : l: : :| T:ァ' : | j:|
|: : : : /⌒7 ├ー 、 | j:|
|: ー/ V \l \l:|
/ \ ヽ. l:|\
18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2008/11/23(日) 21:53:27.32 ID:RQTQkZIz0
____
/_ノ ヽ_\
/( ●) ( ●)\
/ ::::::⌒(__人__)⌒:::::\ (他人のそら似だとしても、普通は気づくお。
| U  ̄ |
\ u. / なんだかこの家族は気味が悪いお……)
ノ \
/´ ヽ
| l \
ヽ -一''''''"~~``'ー--、 -一'''''''ー-、.
ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) ) (⌒_(⌒)⌒)⌒))
やる夫は言われるまま暖炉に手をかざしながら、この家の人間について考えていた。
もしや自分を騙しているのではないだろうか?
だが、貧乏神のようなオーラを放つ自分を騙すメリットは、すぐに思いつかなかった。
びくびくしながら逃走経路を探すやる夫だったが、
台所からいい匂いが漂ってきて、とりあえず考えるのを中断した。
19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2008/11/23(日) 21:57:08.05 ID:RQTQkZIz0
ィ≦二> 、
/:〈:.:.:.:.:.:.`ヽ:.',
l.:/ ヽ\:.:.:.:.:i|:.l
|:{ -ー \'`¨'lレ1
l:{:, --' l ー'l|_ハ さ、どうぞ召し上がれ。
|:ゝ.、 _'__, /|::.:ハ
|:.:.::::`i ー イ::|:::.:.ハ
j_, ィ」 {マ!、_ハ
/ l| |__」」| V:,
」 l 」 {__」」|l | l:.',
{ 、| / | l | |:.:|
/ /⌒マ} | lj |:.:|
/ ⌒7} __} l lー'
{__廴 ノ|j r-、 , -i / |
〉 || ≧:{_}:≦こ{ ーl
┌| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|┐
`'| ..:::|'´
| :::::|
____
/_ノ ヽ_\
/( ●) ( ●)\
/::::::⌒(__人__)⌒::::: \ ……い、いただきますお。
| ( ( |
\ `ー' /
やる夫は毒が盛られてないか、女の様子を見ながらこわごわスープをすすった。
20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2008/11/23(日) 21:58:38.69 ID:RQTQkZIz0
____
/ \ !?
/ ⌒ ⌒ \
/ ( ●) (●) \ (あ、あったかくてうまいお……!!)
| 、" ゙)(__人__)" .)|
\ 。` ⌒゚:j´ ,/
/ \
/ , \
____
/_ノ ヽ_\ バクバク
/( >) (<)\
/::::::⌒(__人__)⌒:::: \ ゥンまああ~いっ! こっこれはああ~~~っ! この味わあぁ~っ!
| |r┬-/ |
\ ` ̄'´ / 柔らかな野菜にジューシーな肉の旨味がからみつく!!
/ \
/ , \n キャベツが牛スネを! 牛スネがキャベツを引き立てるおッ!
/ / r. ( こ)
やる夫は寒いなか街を歩き回っており、そして空腹だった。
じっくり煮こんである熱々のポトフを、ハフハフしながら頬ばり、たちまち平らげてしまった。
21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2008/11/23(日) 21:59:23.87 ID:RQTQkZIz0
/ V 〈f 丶 \ \
/ '´ 入ヘ\ ヘ ∧
.' / ./ \\ \ 1 ∧
l .:l. :.:f , -=、―ゝ、二>、!} l|
l l:.|. :.:l _y;≠㌢´ ,示ャ|:: l!
l レ|‐、j ヘ代チ} {弌リ l:::/リ
| :{ l| 〉 ゞ-` '、 ,l|' ……お気に召しましたか?
l :トl|._、 ノ .' |
l! l :.l|:::::::ト、 ー、_ァ' .' l
/! l :.l:l:::::::l 丶. /:l !
, / l! :l:.i::::::l ` Tf´::::::l| l|
/ l /| ::l:.l::::; l:::l::::::::ll l|
; .川| _」:lイ 、:l:::: / ∨l /}_r=ニニニ=r┐
,' 厶孑ヤノ:l\ ヾー‐l|-!、 l/ , 〉:::::::::::::::{_/!
,' / \ ̄ノ \、_ ハ l| /l∨/´二ユ::::::::::::{_/}
l ,' 、 ヽ. \`'ー-'゙ } l|/ l| -‐┴‐ァ:{_/┐
! ! \ \ \ーy'/ ∨ l ハ ̄´:::イ〈_/
| 〈 丶 l | \/ ∥ .' /  ̄ /
| ハ 、 丶l | ィ´ ̄fi ̄` l|/ ' /
l |::ハ \ ヾ}イ l| l ! / / /
____
/_ノ ' ヽ_\
/(≡) (≡)\
/ /// (__人__) ///\ 三つ星レストラン並だお!!
| |r┬-| |
\ ` ー'´ /
22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2008/11/23(日) 22:01:39.33 ID:RQTQkZIz0
:: : : ;': : : :.:/´ `丶: :丶: :ー--: : :_:.;;:|: : l: :l:|
:: : :.|: : :.:::/ `丶:二二¨7:::/l:::.:l: :l{
:::.:.:.l: : :.::; , -―- 、  ̄ {/≧,ィ!::.l: :l
:::r‐l: :.::::l /´ ̄ ̄ ̄´ ,ィヤ {|::.l|: l 私も頑張って作った甲斐がありましたわ。
::i /| \:j _, - ヒチ} !:::lj:/
::{〈」ハ yャ==彡 ヽ`¨` レ〃 おかわり、お持ちしますか?
:.:ヽ|ヽ 〉  ̄ .;/ !:::|
:.:.:::l:`T::ヘ. _, / -
.:.:.:::l:.::l::l:::|\ ー'=´ /´/
:.:.:.:::l:::l::l:::l ` 、 /,' /
:.:.::::::l::l::l:::| ` ー---イ:::::l !
:.:.:.:::::l:|::l:/ /ー―-、!|
:.:.:::::::|:/ /\ lヽ'、
:.::::/| { ハ | \ / ̄ヽ
¨´`ヽl 、 / } ! jV /⌒}
|\ ー--- ¬ー /} l / ´ /゙}
____
+ ./ \ /\ キリッ
/ (●) (●)\
/ ⌒ノ(、_, )ヽ⌒ \ うむ、苦しゅうない!!
| `-=ニ=- |
\ `ー'´ / +
やる夫はすっかり上機嫌になっていた。
女の態度から、やはり自分はこの女の旦那に瓜二つだったのだろうと確信した。
しばらくはこの女のママゴトに付き合って、隙をみて逃げだそうと考えたのだった。
24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2008/11/23(日) 22:05:14.12 ID:RQTQkZIz0
_____
/ \ /\
/ し (●) (●)\ と、ところで……。
| ∪ (__人__) J |
\ u `⌒´ / いなくなってからどれくらい経ったんだお?
ノ \
/´ ヽ
| l \
ヽ -一''''''"~~``'ー--、 -一'''''''ー-、.
ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) ) (⌒_(⌒)⌒)⌒))
/ /ヘ 丶 ヽ ハ
,′ ' , イ \、 \ l l|
l l ,.:'::::' \ 、_ ヽ:.l |
! |/.:::::::l __ \二≧:x._l:|.:l
| l:::::::::::' -‐'―‐ 、`ゝ  ̄'ィ≠ャ|:/
l l, -、::;' _y≠fテ ォ イトチ「l l
l | ヘ ` ヘ 弋トチ} l ゞ' lノ l 一ヶ月くらいかしら……?
| l 〉 `冖´ ヽ l:: l
| lヽ、ヽ _'′ ,.:: l
| l:. :::` ー\ '´-‐ /.:|: |',
l | :: :::::::::::::::::ト /ト、::l: | ヽ
| l ::: :::::::::::::::::l ` ー--'´ }/ l|:/、 \
| l! ::: ::::::::__/l / {リ  ̄≧ト、__
| l/ ̄厂厂 {ハ / /代>'′/ l \
|/ / / \ / // / l ヽ
25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2008/11/23(日) 22:06:50.67 ID:RQTQkZIz0
| l l \ \ \ \j| \ l |
l |:.:.:.:l \ >'´  ̄ ̄ 二ニ=-! !__:.:.:l:. l __l
l:l|:.:l:.l , イ ̄ ̄ 丶 \ ` ̄ ̄ ̄ ―----| |--―<l/ !
l:ll:.:l:.:l '´  ̄ ̄ ̄´ 丶 二二二 | l /l
l:l l:.:l:.l 二二.._ , ィチ{_ イ ̄下T ア´ / l
l:! ヽ:l __ イ{_ イ∧` 弋三Zチとツ! l´ ヽ l l
l:! lヾ. ヘ弋三Zチツ l ´ ̄ ̄´ i l / / l l 急にいなくなるんですもの。
|! /´\lハ ´ ̄´ ! ヘハl/ヘ/l l / / l l
l \'、 /l/ヘハ' l l l /_./l l ……ずっと待ってたんですよ。
| , - 、 ヾ ,j l l / / / l l もう心配させないでくださいね。
l | ` ー\ \ 〉 l l / / / l l
| l , -、 _ ヽ ー-- ----‐ '´ l l / / l l l
}/ / `丶、 \ ー--‐ l l/ l l l l
{ / , - 、 __{⌒ヽ、 l l l l l l
ヽ / /´l| l \ /l l l l l l
____
/_ノ ヽ_\
/( ●) ( ●)\ わかったお――。
/ ::::::⌒(__人__)⌒:::::\
|  ̄ | (本物は蒸発したのかお……)
\ /
26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2008/11/23(日) 22:10:29.18 ID:RQTQkZIz0
《 翌日 》
____
/\ /\
/( ●) (●)\
/ :::::⌒(__人__)⌒:::::\ そんじゃ仕事に行ってくるお!!
| |r┬-| |
\ ` ー'´ /
/ / /′ \ \l:l ヘ
/ / / _____,ノl \ 丶. l:l丶 l
,' / ,. イ /―------'′ /二>l:l l V
, //.::::j yォ'テ示 朴 l:ト、 l/
! /:>―、:l ヘ! VしfV '示 札トャリ!
! |:l '⌒ヽ 、ゞ==' l 弋rンl:| ル' ……?
! l::、 〈 ´ ̄ ', 丶--l:|/l
! l::::丶 _ / i::l / なにを言ってるのですか?
! l:::::::::::::::::l , ―┐ //.′
! |:::::::::::::::::l 丶 ー― ' ,.イ::!! 働かないでも暮らせるだけの貯えはあるじゃないですか。
! |:::::::::::::::::l \  ̄ ,..イ:.:.:|::|l
! |:::::::::::::::::l \__, ィ´:::::i:.:.:.|::|l
27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2008/11/23(日) 22:13:55.99 ID:RQTQkZIz0
____
/⌒三 ⌒\
/( ○)三(○)\ え……あ、そうだったお。
/::::::⌒(__人__)⌒::::: \
| |r┬-| | ――ちょっとトイレ行ってくるお。
\ `ー'´ /
/ 川: : /: / -―=、‐-、 | l \: : : : :ヽ:}: : :l
l: :/:l:|:´: : :シ 、_、_ 丶\ヽ ヽ. \: : : ::l:|: : l
': :l゙l:l`ヽ.:/ ヨ「´アfラ ヌ、ヽ 〉 \\ l: : V/: : :l
/: : l l:l 〉 V代イリ 〉 ∠士l: :l |: : :リ
:/: :l l:l{ ^ゞゝ- ′ ォf㍉、V/: : リ|
': : :l〃ヽ| //ハイ} 水:{://
: /:〃、 _j { ゞ- ' /:.:l:| / ……おかしな人。
;.':〃:::::::lハ ヽ、 _ / /'´ l:|
:.::l:|:::::::; ハ \ l\ ' !:!
:.::!:!:::::; ヘ ー ̄´ イ j::l
://::::/ \ , イ:::: l /::l
'/::::/ ヽ __ ...イ:: /|::: l |:: l
':/ /::::::::::::: / l::: l l:: l
29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2008/11/23(日) 22:16:15.35 ID:RQTQkZIz0
《 トイレ 》
| . | ̄ ̄ ̄|
| ,iリ | // |
| ___ ヽ|,/ | // |
___ ,| /;;;// |''| |___|_,,
| ̄| |=====iヽ、..,,___ =0)
'l, 'l, | ____ Oニ) |ヽ、..,,____ ノ
ヽ。 / ゜) | i | |
| "' ーー '/. | i |{,} |
ヽ ,/ | i | |
/,i " '' i,  ̄ ̄ ̄ \___|,,__|
/  ̄ ̄ ̄
____
/_ノ ヽ、_\
ミ ミ ミ o(( ゜ ))(( 。))゚o ミ ミ ミ
/⌒)⌒)⌒. ::::::⌒(__人__) :::\ /⌒)⌒)⌒)
| / / / |r┬-| | (⌒)/ / / // やっぱやる夫の眼に狂いはなかったていう!!
| ::::::::::(⌒) |-r 、/ / ゝ :::::::::::/
| ノ u`ニ' \ / ) / この家はけっこう金ためてるみたいだお!!
ヽ / ヽ / /
| | l||l 从人 l||l l||l 从人 l||l
ヽ -一''''''"~~``'ー--、 -一'''''''ー-、
ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) ) (⌒_(⌒)⌒)⌒))
30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2008/11/23(日) 22:19:04.39 ID:RQTQkZIz0
____
/ \ ( ;;;;(
/ _ノ ヽ__\) ;;;;)
/ (─) (─ /;;/
| (__人__) l;;,´. いや、でも待つお……。
/ ∩ ノ)━・'/
( \ / _ノ´.| | あの女の旦那はたぶん失踪してて……もう戻ってこないとみたお。
.\ " /__| |
\ /___
|
\ __ /
_ (m) _
|ミ|
/ `´ \
____
/⌒ ⌒\
/( ●) (●)\
/::::::⌒(__人__)⌒::::: \ なりすませばずっとニート生活できるお!!
| |r┬-| |
\ `ー'´ /
32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2008/11/23(日) 22:21:48.08 ID:RQTQkZIz0
,.へ
___ ム i
「 ヒ_i〉 ゝ 〈
ト ノ iニ(()
i { ____ | ヽ やったお……。
i i /__, , ‐-\ i }
| i /(●) ( ● )\ {、 λ 日陰者から、
ト-┤. / (__人__) \ ,ノ  ̄ ,!. 悠々自適の身分になれたお!!
i ゝ、_ | ´ ̄` | ,. '´ハ ,!
. ヽ、 `` 、,__\ /" \ ヽ/
\ノ ノ ハ ̄r/:::r―--―/::7 ノ /
ヽ. ヽ::〈; . '::. :' |::/ / ,. "
`ー 、 \ヽ::. ;:::|/ r'"
/ ̄二二二二二二二二二二二二二二二二ヽ
| 答 | 働 か な い 自 由 │|
\_二二二二二二二二二二二二二二二二ノ
やる夫の脳裡に彼女の顔がよぎったが、ぐうたらに飽きたらすぐに逃げるつもりでいた。
33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2008/11/23(日) 22:23:29.51 ID:RQTQkZIz0
明日こそ、来週こそ……。
やる夫は逃げ出すのを延び延びにしていた。
ひとえに、この家で暮らす生活が穏やかで楽しかったためだ。
女は、水無月かれんというらしかった。
_ ------ _
// ̄ ̄ ̄ ̄ \
r' / ヽ
/´  ̄` 、 \ ヘハ
,'l .::/、 \:.:.', ヘ l
l:l .:/ \、 \ ヽ:! l:l
l:l:.:l-t‐ 、 \ 、 \ .:.| | :|
V:lrテん} t≧≠、:.l l :l
トl 弋rソ 升㍉y_! /ヘ ハ ……あなた、明日はクリスマスですね。
/:.'、! ノ 弋rソ //ヘ | l
/.:.:.:.:.:./\ 、 _ / ム´イ l なにが食べたいですか?
/.:.:/.:.:.:.:/_ :.:_\ イ l:.:.:.l:.:. . l
/.:/.:.:/.:.:.:/ } | マf ´ l/ /、:.:.l:.:. . . l
/.:/.:.:./:.:.:/ 」 l | // l />― 、l \
/://.:.:.:.l|:.:.:.l /⌒y=、イ_l l/// l|:. l
/.:l l:.:.:.:.:l|:.:.:.:} { ‐{ /ー / l /'´ l|:.:. l
|/ l:.:.:.:.l !:r- 、 'ーァーォ、 / .:./ / l:ll:.:. l
|--、|/ ̄` V´}_/ l lV :.:l / !| l:.l !:.:. ヽ
{___/´ \ | l{ ∠/ l /:.:.l ',:.:. ヽ
/  ̄ ̄ ̄7´レ゙i / l /:.:.:.:l l:.:. l
{ | 7ー、 l / ヽー、:l |:.:.:. \
`ヽ _____ ゝ-‐'゙ l / 〉 \:.:.:. l
// 丶、 /--‐ '  ̄ヽ|
34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2008/11/23(日) 22:26:48.80 ID:RQTQkZIz0
____
/_ノ ヽ_\
/( >) (<)\
/::::::⌒(__人__)⌒:::: \
| |r┬-/ | かれんは料理上手だからなんでもいいお!!
\ ` ̄'´ /
/⌒ヽ ー‐ ィヽ
/ rー'ゝ 〆ヽ
/,ノヾ ,> ヾ_ノ,|
| ヽ〆 |´ |
, -―‐- 、
,.イ:.:.:.:.:.:.:、:.:.:\
/.:.:/l:.:.:.:.:.:.:.ヽ:.:.:.:.l
l:l:/ ヽ:.:.:.:.:.:.:.:l:.:.:.l
l:.l -==' \==-l:.l:.:| おだてたってなにもでないのに……。
_, -- 、ヤfテ fテ1! !)|
,rく ヽ{` l "" { . ""j:.|:.:l
_/ ヽ {__ノ\ ー‐ ィ|:.l:.:.l
/ _厂フ:.:/(j` _ノ||:.:.l
r'´ /´ ̄ ̄{ | | l:.:!:.:.l
{ / _}ノー、 j__/}:.} ̄ `ヽ
ヽ / /` ー―| \ り ハ
丶--‐ァ.:ァ.:.フ´ / ,: l rマ , l
/.:/.:./ / jレ' l | lj V ヽ
そのとき、屋敷のインターホンが鳴った。来客だった。
36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2008/11/23(日) 22:29:18.73 ID:RQTQkZIz0
/ ̄ ̄\
/ ノ \
| (○) (○)|
. | (__人__) | す、すいません……。
|U ` ⌒´ ノ
. | U } あの、たびたびで申し訳ないのですが、お金を貸していただけたら……。
. ヽ U }
ヽ ノ
/ く
| \
| |ヽ、二⌒)、
____
/⌒三 ⌒\
/( ○)三(○)\ (や、やばいお……たぶん本物の知り合いだお。
/::::::⌒(__人__)⌒::::: \
| u. |r┬-| |. 貸していいものなのかお?)
\ `ー'´ /
37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2008/11/23(日) 22:33:09.76 ID:RQTQkZIz0
/ // \\ ハ1 ハ
' // j| \\ l| ',
l // , ト---- 、 l| l
| イ , -―‐ノ `二二⌒ト、 !
| l /´ ィ 示 トrイ1〉| キj |
| l Y 卜イり { 弋ム} | レ⌒l ……またですか?
| /⌒! u `¨´ l} , , , !リ⌒ノ
| l r、 l ' ' ' r‐、_ | ) /l
| l 〈ハ /´/ / h ,|イl |
| l\ ゝヘ r 、/ / / / | /| l | |
| l `¨´ゝ、 | / / / / ;/: :| l | |
| l : : : : : : l l / / / / /l: : : :| : :l |
| l : : : : : : |ノ / { { / 卜: :|: :l |
| l : : : : : : { { ノ l: :|: : :l |
| l : : :_/j l ヽ:|: : : |
/⌒ ー一/ l l | \ |
/ / | r―‐ 入 / __. |/  ̄厂 ̄ `ヽ
/ l | | | \ /} }.ノ| / l
___
/ ー\
/ノ (@)\
.| (@) ⌒)\
.| (__ノ ̄| | ///;ト, 申し訳ない、申し訳ない……。
\ |_/ / ////゙l゙l;
\ _ノ l .i .! | きちんと返しますから――でないと、正月を越せないのです。
/´ `\ │ | .|
| | { .ノ.ノ
| |../ / .
41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2008/11/23(日) 22:37:12.52 ID:RQTQkZIz0
/: : : :/: : : : : : : : : : : : \
/: : : : _/:_: : : : : : : : : : : : : : ハ
/: : :´: :〈: : : : : :`丶: : : : : : : : :l
/: : : /´^ヽ: : : : : : : :\l: : : : : |
/: : :/ \: : : : : : :/ハ: : : : |
/:/:/ \: : : : :ハ: l: :l :|
,: :l/ __ _ \: :/:Ⅵ: :l :|
/:/リ ` ー‐' __ノ/\:j: :j: : l ……あなた、どうします?
/: lム ≧、_ `丶-' l }ノ^!: :l
l : l:ゝl ´ ̄´ ! 、 _」.ィ // /: :l
|: :l: : ハ ノ ` ̄| /_/: : :l
|: :l: : : :\ - 、__ 、 .ィf : : : : :|
」: :j_: : : : :_j\ ´` . イ: :|:l: : : : : : l
/ l 〔  ̄/|  ̄ /ト-l-r―‐r、: ',
/ l 〕 | / l 〔 / ヽヽ
/ | 〔 | / l 〕 l |: |
/ ̄ ̄ ̄\
/u _, 、_ \
/ (●) (●) \ ……可哀想だから貸してやるんだお。
| (__人__) U |
\ ` ⌒´ /
42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2008/11/23(日) 22:39:26.87 ID:RQTQkZIz0
| l l \ \ \ \j| \ l |
l |:.:.:.:l \ >'´  ̄ ̄ 二ニ=-! !__:.:.:l:. l __l
l:l|:.:l:.l , イ ̄ ̄ 丶 \ ` ̄ ̄ ̄ ―----| |--―<l/ ! ……そうですね。
l:ll:.:l:.:l '´  ̄ ̄ ̄´ 丶 二二二 | l /l
l:l l:.:l:.l 二二.._ , ィチ{_ イ ̄下T ア´ / l あなたならそう言うと思いました。
l:! ヽ:l __ イ{_ イ∧` 弋三Zチとツ! l´ ヽ l l
l:! lヾ. ヘ弋三Zチツ l ´ ̄ ̄´ i l / / l l
|! /´\lハ ´ ̄´ ! ヘハl/ヘ/l l / / l l
l \'、 /l/ヘハ' l l l /_./l l ――いま、金庫からお持ちしますわ。
| , - 、 ヾ ,j l l / / / l l
l | ` ー\ \ 〉 l l / / / l l
| l , -、 _ ヽ ー-- ----‐ '´ l l / / l l l
}/ / `丶、 \ ー--‐ l l/ l l l l
{ / , - 、 __{⌒ヽ、 l l l l l l
ヽ / /´l| l \ /l l l l l l
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( >)(<)
. | ι (__人__) すいません、すいません……。
| ` ⌒´ノ
. | }
(⌒) (⌒)
/ iヽ ノi ヽ
..l___ノ| .|ヽ___i
| .|\\
やらない夫は何度も頭を下げ、金を大事に抱えると、淋しげに帰っていった。
44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2008/11/23(日) 22:42:45.03 ID:RQTQkZIz0
____
/ \ ( ;;;;(
/ _ノ ヽ__\) ;;;;)
/ U (─) (─ /;;/
| (__人__) l;;,´.
/ ∩ ノ)━・'/ ……あの男は、たびたび来るのかお?
( \ / _ノ´.| |
.\ " /__| |
\ /___
/:/\ヾ、 \: : : : : : : : : : : \|l: : : : : : : : :l: : :
l.::! \丶、 `>‐ ≠==-: : :|l\: : : : : : : l: :
|:.l __ ` / /三二≧:、: 〃: : ヽ: : : : : :l:_:
Vf―ヽ ー‐ '>z==示ィノ |l ̄ヽ: :ヽ: :/ ヽ
lハy示 ノ´ f:代._ノ:l l「 !| `y'´ /´ヽ| ええ、ほんとうに困った親戚……。
!: l} lトi v勹ノcリ´ 〃 〈 l
!|:.l り _ >''´ // } /. ですが、あれくらいのはした金を施しても
i:.l:.l`/ // _/ / 三人が慎ましく暮らせる分はありますから。
!: l:l〈、 // /::
|: l:.', ヽ // /`T´:::::::
|:.:|i:.:.、 マー‐ 、 l | / /.::::::::::: あなたは心配しないでくださいね。
l :.lヽ:.:.ヽ `二 ` l | /::::::::::::::
|:l:.:|ヽ:.:.\ ! l / /:::::::::::::::::
46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2008/11/23(日) 22:46:11.71 ID:RQTQkZIz0
____
/_ノ ヽ_\
/( ●) ( ●)\
/ ::::::⌒(__人__)⌒:::::\ ……わかったお。
|  ̄ |
\ /
その後、あの男はたびたびやって来た。
そのたびにやる夫は金を施した。はじめは本物を真似ての行為だったが、
いつしか、これは自分に与えられた仕事のひとつのような気がするようになった。
48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2008/11/23(日) 22:49:35.28 ID:RQTQkZIz0
____
/ \ _
/ ⌒ ⌒\ //
/ (⌒) (⌒)ヽ //
| ' "(__人__)"'l〃ヾ
.\ `ー'´ /'んソl
〃⌒ヽ ィ´ヽ.//| | 庭をきれいにするのも主人の務めだお!!
l\ \ // ′ .l
│ \ ⌒ ̄ ̄〆⌒,ゝー'
| `ー──~ソ"
| .// i
. .| // |
\ 、// ,!
| // /
| 〆ソリ ,/ サッ サッ サッ サッ‥
/ノ//ソハ 丿
. :. 〆彡/ノリiゝ . ` ,. ..
. .. :´,;、;彡リン〆ノソ ..´..;' . ; ; : .
クリスマスが過ぎ、年が明けて雪がとけても、やる夫は逃げださなかった。
やる夫は屋敷での暮らしにすっかり馴染んでいた。そんな魔力がこの屋敷にはあるようだった。
そんなとき事件は起きたのだった。
49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2008/11/23(日) 22:52:45.70 ID:RQTQkZIz0
|: : :::l \: : :\≧x:_: : : :
l: : :::l -‐==、―‐- 、 ` ー---, =¬ ≠
/!: : ::} _ 二≧‐\ /‐≦二 _
!: : /´', ーr= 7:::{ j::ト、 , イ::{ }:: ……あなた、大変です。
!: ::l ヘ ', ヘ {Vヘ夭::l {Vヘチ:
/: : !| ヘl 、ゞ7Zソ | ゞ7Zソ 母様が帰ってこないのです。
〃: : ::、 { , ´ ̄´ l ´ ̄//
': : : ::::l::、 ヽ', l::! //
/: : : : :::l::::::\ ', u. ヾ} //
: : : : : :::l::::::::::::`:.、 --- 、 //
: : : : :::::l:::::::::::::::::::\ {____} // /
: : : : ::::l::::::::::::::::::::::::::l\ ー 一 ///l:::::
____
/ \ ( ;;;;(
/ _ノ ヽ__\) ;;;;)
/ U (─) (─ /;;/
| (__人__) l;;,´. 困ったものだお……。
/ ∩ ノ)━・'/
( \ / _ノ´.| | 義母には、水無月家の一員としての自覚が足りないお。
.\ " /__| |
\ /___
やる夫は忌々しげに呟いた。
それから一週間が経ち……、
50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2008/11/23(日) 22:54:23.66 ID:RQTQkZIz0
ィ¬ー- 、
/ ∨ \
/ '´ , ヘ - 、 ハ
l ,-| .:シ′ '、\ \l.: !
l l lV ャ≧ー' \≧:xl::ノ ……あなた、母様がやっと戻られましたわ。
l lゝ|、 ゞノ ´ ,ィテチ'.::lリ
l l.:.:.!:l 、" _ ノ´ /:.:.:l| 玄関先でうろうろして、今までなにをしてらしたのです?
/ ,:.:.::l」 \ `.ィ:.:.:l:.:l|
/ ̄Yイ´|\ j「`Y´ ̄ヽ|
ミミ:::::::::::::::::::il / ヽ、 .|:::::::::::::::::::::
ミ::::::::::::::::::::::::ノ / ,.-, ', ,..,,.l,.-、::::::::::::::
ミ:::::::::::::,.__,,.../,. --===/:::::ヽ--- ...,,,,、 ', ,.r- 、'::::::`ヽ j:::::::::::
-=..,,___l,..ィ:::::ll ̄ ./::::::::ll´ ̄ `'' ‐ミ,.、 ', '´:`ヽ:::::::::::`ヽ::::::::',''‐--ミ
i:::::-‐:|l、 .l:::::::::::|l | | .|| l l''l:::::::::::::ヽ::::::::::::::l:::::::ノ
.ヽi::::::::ヽ__‐--l:::::::::::lヽ---‐‐‐‐'__/-l:::::::::::彡:::::::::::::/,.r '
l,::::i::::::l.l`''r‐、:::::,.r '' ‐,.ニ-'、''i l´l.l,l::::_::::::::::/:::::::ノ
ヽl::::::,.ソ' ' ・ '" ‐'"・ `' - l |.|/ノ´ `ヽノ.ニ.,´
,.r‐''/:.:.{ 、`ニ / 、ヽ''ニ' //// `' ‐、
/ :::::::l:.:.:.:.:l `'' .l ,.`' ‐ '´i .l / / ,. `ヽ、
,. ' :::::::::l:.:.:.l:.:.:.l .l ヽ__, '_,. r '´ /./// ,.r' ,,.. -‐'' ´
/ ::::::::::::l:.:.:.:.l:.:.:.ヽ、  ̄.., ,.r ' ' ,. r ' ,. -‐'´
/ :::::::::::::::l:.:.:.:.ヽ:.:.:.:l, __ ノ - '´ ,.r '´ /
/ ::::::::::::/::::::l:.:.:.:.:.:.ヽ:.:.:. ̄ ` ''' ´ ,. r '´ ./ ……こっちにもいろいろ都合があるからねえ。
,.' :::::::::::::::/:::::::::::',:.:.:.:.:.... ,,.. ‐ ' /
/ ::::::::::::::::/::::::::::::::::ヽ‐-....,,,,.... -‐ ''" i. l /
かれんが連れてきた老婆は、どう見てもやる夫の知らない人だった。
51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2008/11/23(日) 22:54:52.84 ID:RQTQkZIz0
____
/⌒ ⌒\ !
/ (●) (●)\
/ (__人__) \
| `ー' |
\ /
/ \
____
/ \ /\ キリッ
. / (ー) (ー)\
/ ⌒(__人__)⌒ \ 婿の立場でこのようなことを言うのも
| |r┬-| | おこがましいかもしれませんが……。
\ `ー'´ /
ノ \ 水無月家の人間として、きちんと自覚をもって行動してくださいお!!
/´ ヽ
| l \ まあ、無事帰ってきてよかったですお……。
ヽ -一''''''"~~``'ー--、 -一'''''''ー-、.
ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) ) (⌒_(⌒)⌒)⌒))
53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2008/11/23(日) 23:00:16.37 ID:RQTQkZIz0
__
|
|
|
|
| _____
| /⌒ ⌒ \
| /( ●) (●) \
| /::::::⌒(__人__)⌒::::: \
__| | |r┬-| |
ニ「 ̄ \ `ー'´ /
 ̄ ̄| /⌒/ .λ/_,,..i_
| γ⌒r、/ く」r/( 、 ゝ)ヽ、_ ̄ ̄「|
|二ニ==─-、ム!_ノヽノー'イ』 ノi | |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| | |
やる夫は穏やかな生活を取り戻した。
昼はインターネットをしたり、書架にある古典を読んだり、
それにも飽きたら庭を散歩した。
庭は広くはなかったが、よく手入れされており、四季おりおりの美しさがあった。
54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2008/11/23(日) 23:04:09.12 ID:RQTQkZIz0
/ ̄ ̄ ̄ \
// \\
/ ( ●) (●) \ なあ、かれん……。
| (___人___) |
\__ `ー ' __/
/ ヾ、 // \ ヽフ 最近、あの男は来なくなったようだね。
ヽ_⌒)ハ // | レつ||)
i⌒l ミ゚Д゚,,彡⌒) ヽ_ノ.  ̄ ほら、やらない夫とかいう、困った親戚……。
| | ヽ__"" ヽ_ノ| |
ヽ  ̄ ̄ ̄/ ヽ ヽ_ノ
 ̄ ̄ ̄ / /ヽ__)
(__ノ
/ -、 \
/ 、 \ ヽ ',
r‐ 亠 --- |、 丶 ヽ \ l
l\ l \ \ハ ヽ l ……ええ、そのようですね。
、 丶 l \ V⌒丶 l l
\_/__l>―V /` l l l
V-' , l 〕 / l l l それより早く食べてくださらない?
', j,〃 l __/::::. l l ',
l ´ l| l::::::::::. l l ', いつまでも片付きませんから。
/ l| ヽ:::::::::::. ヽ ヽ ',
` ┐, ┐ l| ヽ:::::::::::::::ヽ. ',
` く l | ,.イ 〉::::::::::::::::ヽ. ',
_, --,、 `l |ーく:::::l / \:::::::::::::::ヽ ',
___ ,. =' 二´ノ l| V/ >-、::::::::|l ',
/ ,.-‐'ア l|r 、レ┐ /、 \:::ll ',
, イ ´ /´/| l :l/ /〉 / / l::::', l
56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2008/11/23(日) 23:06:36.99 ID:RQTQkZIz0
___
/ \
/ u ::::\:::/:: \ わ、わかったお。
/ <●>::::::<●> \
| u (__人__) u | (最近かれんの態度が冷たいお……。
\ 。` ⌒゚:j´ ,/ それに、いつも考え事をしてるようだし……)
/ \
/ \
/ 「′ 丶 ヽ
/ ,.ヘ \ ヘ! |
l / \\ ヽ l| |
l ,' _ \、 _ l| l: |
l l ⌒ ー' 'ー≧ `l| l: l
l ∧ャ示 テ 示 テヤ|Y^!:l なにか私の顔についてます?
l l ハ `¨ l| `¨ |/,イ l
l lヽム `_ |イ::l l
l l :::::\ ヽ.__) /|:l:::l l ジロジロと見て……。
l l :::::::::::> r'⌒)'l:::::|:::::l l
l l ::::::::/l,.イ二ノ入::l:::::| |
_Lj_:ィ>‐ァ勹 / |ーz-- 、
/ l/ 〈/ ,イ ∨ l| /|、 ヽ
/ /_/ /`TT⌒1__l:|' / l |
| /〈 /ー介ー┘ l:| l |
あんなに優しかった女の態度は、いつの間にか冷淡なものにかわっていた。
もちろん、やる夫に心当たりはなかった。
屋敷の主人に相応しいように、やる夫はつねに紳士的にふるまっていたから。
58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2008/11/23(日) 23:09:30.76 ID:RQTQkZIz0
/ \
, イ/ ヽ
/ l ー - ヽ l
l ,.ヘ 丶 \、 1 l
l / V ヽ::l|::. l l
l:l \丶 丶、 ::l|::::. l l ……ねえ、あなた。
l:l _ \丶._ ヽ::l|::::::. l l
l::l⌒ヽア 丶≧zェ>ー:l|¬::/´l l l 明日高校の同窓会があるの。
l ::v代示 代示 フ l| /゙l l l
l ::l `¨´/ `¨´ l| lノ/l l l
l lハ く l| /イ| l l ちょっと出かけてくるわ。
l l l\ ー_¬ l|.イ::::l:: | l l
l l l:::::丶 . ´l| l::::::l:: l l
l l l:::::::::::`T ´ l:| l::::::l:: l l
l l l:::::::::::::l l l l:::::::i:::l::. l
| |l l::::::::::::j l l 丶::::i::::l::::. l
l | l_」L. ィ´ l | l`丶、::::. |
, -‐ 7 /l\___ 」 L. イ /  ̄` ー-、
/ / /| l | / / \
____
/ \
/ ─ ─ \
/ U. (●) (●) \ ……ちゃんと戻ってくるのかお?
| (__人__) |
\ ` ⌒´ /
59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2008/11/23(日) 23:12:56.88 ID:RQTQkZIz0
_ --- 、
/ \
/ / __ ヘ
,' , -l 、 \1 l
, .:/ '、 \ :l| l
l ::l -、、 \ :.l|:.:.: l l
l :ll 、__ス ≧l|、:;-! ,'
l :::l  ̄j  ̄l| /l| /〉
l :::\ 、'_ , l|r‐イ| ,.._ l |. ……当たり前でしょう。
l ::::_」丶- イ l|:::::l l 〈./`ヾl
,r'´ ̄ヾ | ′ トl|:;:::l l 〈、 l.
// ヾtュzx、___l|」`ト、! ト〉 l.
/' l / \ `¨‐'l|′|l l `l ト,
, ' l /‐' \ !! ノ l l lニニl|.
/ / l /′ {>!K} l l l V
/ / l /\ / !|\人 トノ| !
/ / l / /j l| ` | ゝ二ハ
__ / jL - ´l レ' li\ / /
`¨l | l l ! ヽ イ
____
/_ノ ヽ_\
/( ●) ( ●)\
/ ::::::⌒(__人__)⌒:::::\ ……わかったお。
|  ̄ |
\ /
60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2008/11/23(日) 23:15:39.92 ID:RQTQkZIz0
\ _ ..≧== |、\ l l |
二二ゝ 丶---ー'´ ̄ ̄ | Y:l_」_. l |
ー― ー― | j/ `l |
ーf:云ミ ーf:::云テヤ:| /´ヽ | /
、 ゝこノ} ゝこノ | 〉' / /
 ̄ /  ̄ | / / l ……行ってきます。
〈 | /-- イ |
ヽ ` |イ:::::::::: |
:\ ー ―- /:!l:::::::::: |
::::::::\  ̄ / !|::::::::::: |
::::::::::::::丶、__. '´ j:|:::::::::: |
:::::::::::::::::| l |::::::::::: |
..::::::::::::::::/| | |:::::::::::: |
だが、やる夫の不安は的中した。
かれんは家を出て行ったきり、帰ってこなかったのである。
61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2008/11/23(日) 23:20:12.08 ID:RQTQkZIz0
やる夫はかれんが家を出て行ったこともさることながら、妻が不在であることにショックを受けた。
この屋敷には主人である自分と、穏やかだが礼儀にうるさい義理の母、
そして愛し愛される妻がいなければ成り立たないというのに。
ぅぃ~… ‥ヒック
/ ̄ ̄ ̄\
/ _ノ ,、ヽ、_\
/ ;;;(ー)::::::(ー);;\
| :;:,~(__人__)";:: |. やばいお……。
\、 ` ⌒′ ,/
/ヾ イ" く __ 早く、誰か嫁に来てくれお……。
/⌒ヽ \ ,、jーi
. |\ \. ト、 ヽソ ⊆)
| \_/⌒ヽ/⌒\( | ⊂リ じゃないと、オカシイお。
| ,/ ,. \i' \|_とン
| 人 \ \
\__/__\,〆⌒)_〆⌒)
64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2008/11/23(日) 23:22:30.65 ID:RQTQkZIz0
,. ,./i,.
,,.-‐'''""'''- 、 /i/ '"´'´''"i,
,.-'".:.: : : `ヽ、 / ノ'i'
/:.:.:.:.:.:. : : __,,,. -- .,,,_ゝ、_,,,.-'、__ 'ノ,
`ヽ、,.-‐''""'‐y'.:.:.:.:.:.:.:.:._,.-'"__,,. -''^ヽ、,_ヾ ヽ ヾ、 ソ
〈、_...... . . . . . ....:.:.〉、_l:.. /''" l:.:.:.:.:.:.:.:.:/
i'ニヽ.:.:.:./ ,.== 、 i ,.=、'l ノ:.:.ノ-、.:.:.:__=‐'"
:.:.:.. . . ..l | | |.:.:.ノ ,.=-=、`' ' ' _二, i'.:.:.:ノ'"  ̄
-、.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l ! | |.:/ '‐‐( Oi ゙i r' Oノ/_,ノ
゙ヽ、,,,_,,{゙、i,l |:.i, ,. 、`ー‐' ,. ヽ=' i. まいったね……。
_,,,,,.-''":l゙、'-'.:.゙、 ' ´i'ヽ、__ノi_ l、 /
''":::::::::::::::::::::!:.:゙、.:.:.:| i l i'、 `ヽ,ノi/ ̄ ̄` ''ヽ、 こんなこと言いたくないけど、
:::::::::::::::::::::::::::::::::::\.'i, ! ! `、二ニニソ/ ノ  ̄ヽ、_ 婿養子だからって遠慮してたんじゃないかい?
::::::::::::::::::`‐-.,,_::::::::::ヽゝ, ‐‐ |r' ,.-'"/::::::ヽ、
::::::::::::::::::::::::::::::::` ‐- .,,_゙、__,,,,. -'ー‐' _,,.-'" /::::::::::::::::::゙、
,,_::::::::::::::::::::::::::.:.:.:. '" _,,.-'":::::::::::::::::::::::::::i,
;;;;;;゙''‐-.,,,_:::::::::__::.:.:.:. _,,,.-'":::::::::::::::::i:::::::::::::::::::::ヽ,
'ヽ、,.. -、;:;:__,r''"'ヽ,,,,____,,,,,,. -‐''''":::::::::::::::::::::::::::\;:;:;:::::::::::::::::::i、
____
/ \
/ _ノ ヽ、_ \ そうかもしれませんお、お義母さま……。
/ o゚⌒ ⌒゚o \
| (__人__) | ですが、今は一刻も早く帰ってきて欲しいですお。
\ ` ⌒´ /
やる夫は悲しんだ。それは、焦りにも似た悲しみだった。
それから数週間後、義母はひとりの女を連れてきた。
65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2008/11/23(日) 23:25:11.11 ID:RQTQkZIz0
 ̄ r⌒ソ´ / \
,ゝイ / ,|l ヘ
( / ' / !|\ト、 l:
`! / / / // 〃 '´ヘ¨ヾヌ li
/i/ l/リ'イ゙` | _」._ V l| えっと、ここは……。
/ | | / 」L斗㍉ fi バY lN|
il N y//{ ハ 代チ! ' レ゙ l
|'、 | N|l|」f l弌夭! ゞシ マ≠、
/ ヌlヽ{ ' ゞrツ ,j! }ノ `i|
,' { 〃ヘ _ /:.\リ
/ 刈 └ '.、 └' ,.f-、 ヽゝ
/ l ` ー‐.:> 、 / l
// _」 ` ーrf´ ヽ l-r‐r-- 、
| l /´ー 、 ト--―‐〈l l |: \
{l l ト、l\/ \ 〈ヘ ,.-ォl l |:.:. ヽ
ヽ|丶| / \ | //| l l |::.:. }
_____
/ \
o ○ o´ _ノ ヽ、_ `o ○ o
。゚ / o゚/⌒) ((<))゚o\ ゚ 。 も、戻ってきてくれて嬉しいお!!
| 0 / /(__人__)' 0 |
\ / / `― ' / ……もしや、自分がわからないのかお?
│ \
| | |
66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2008/11/23(日) 23:28:25.28 ID:RQTQkZIz0
ノ L____
⌒ \ / \
/ (○) (○)\
/ (__人__) \
| |::::::| | お前は俺の嫁だお!!
\ l;;;;;;l /l!| !
/ `ー' \ |i
/ ヽ !l ヽi
( 丶- 、 しE |そ ドンッ!!
`ー、_ノ ∑ l、E ノ <
レY^V^ヽl
∨:::::f/ |:::l / , / / // / |ハ |::. ∨
\:{ :.Vl //-、∠二 /´ / / l::. l::::丿
/`.:::::;ヾ |;-‐土エ≠/ / \'_ l:::l /'´
イ .::;:::/_ 从l!/ハ ∧ ,ェェy_7l:// えっ、は、はぁ……。
' .:::/:::l /} {rテチ::} ハ ∧ Yイイ
/.::/.::::::V丶l ゞZツ {fテり /り
.:::;::::::l::::|> l "" , ゞ=''゙ /X
::::l::::::|!:::ヽ::::ヽ , ┐ ""ノ' | _
Vト、:::{\::ノ゙V \ し' イ| ノ/}ヘ
ィ´ ̄ ̄`ヽ \ 、 __ , -=ニ二. ̄___人 \ _
∧ \ /{::::::::/ ー-、}フ {⌒ヾ/ `ー 、
∧ V}|ー7 ー-、〉 `Y´ / , |
81 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2008/11/23(日) 23:58:19.93 ID:RQTQkZIz0
____
/⌒ ⌒\ ……怒鳴ってごめんお!!
/(⌒) (⌒) \
/::::⌒(__人__)⌒:::::: \ 怒ってるのも、心配したからなんだお!!
| |r┬-| |
\ `ー'´ _/ なんにせよ、今度からは水無月家の女性に
| \ ふさわしい行動をこころがけてくれお!!
| | | |
, -/ l __ノ/ / X. | | | Y⌒) `ヽ
/ l l '´ / / / `T、 ト、 l lーく  ̄丶 |
l l |、 lッイ⌒ ⌒ヾ ハ l l l___ノ l ,'
ヽト ト卜Vしノ| /しノ| V l / /l \`ヽ l/
ヽ| l| 匕ン , 匕ン /レ'/∧ ', レ'
/ソ ,,`¨´ ´ `¨ ´,, l厶斗 ', l
/ {| _ X⌒l ', l ……はい、わかりました。
| 入. l/_) / ノ l / l
| l\ ,.┐ /ト--/'´:::::: l
l /l::::::/ /、_ '´ /´!:::::::::::::::::::. l
V// /ー/l / `ト/´ ̄`ヽ ノ
/ / `二二! ヽ / / l ',
/ / --- ゝ/l / l/ |
女はぼんやり頷いた。
やる夫は満足そうに頷き、久方ぶりに酒を飲まないで寝ることができた。
やる夫はすっかり安心していたのだ。――この家に必要なパーツが、やっと揃ったのだから。
84 :◆z8qEkjOsGc []:2008/11/24(月) 00:01:18.43 ID:MWUtEVLC0
それから季節がいくたびか過ぎていった。
たびたび姑は外出し、別人が帰ってきたが、それでもその老婆は義理の母だった。
妻もかわっていた。だが、どのような女だって、それは水無月家の娘であり、やる夫の妻なのだ。
____
/⌒ ⌒\ やっぱインターネットは最高だお!!
/( ●) (●)\
/::::::⌒(__人__)⌒::::: \ ________
| |r┬-| | | | |
\ `ー'´ / | | |
ノ \ | | |
/´ | | |
| l | | |
ヽ -一ー_~、⌒)^),-、 | |_________|
ヽ ____,ノγ⌒ヽ)ニニ- ̄ | | |
永久にかわらない屋敷での生活。
やる夫は満足しながら、いつものようにのんびりとネットサーフィンを楽しんでいた。
85 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2008/11/24(月) 00:01:58.73 ID:ESG3k8Kp0
常人はこの生活に耐えられないのか?・・・
86 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2008/11/24(月) 00:02:59.33 ID:MWUtEVLC0
/ , { _ \ ヽ
/ / ノ ヽヘ |、 ト、 ヽ ヘ
, / | /レ l/∨ ! | l | ', l
| ,' l| || レ' _」L!」|| |廴 _
| l | |ヽ.| __ , ー'´_ ̄ |/レ ノ _彡'
/ } ! l| /ヘ 二二 ̄ ヤ示ソ ∨{ 丿 ……ねえ、あなた。
_彡' ノ |入ト y'´,.ィ バ ハrノ} レテ込イ
\_ ノ人丶卜 lえル} 弋:ツ k | / インターネットは1日1時間っていいましたよね。
ヽ、 /,二T ゞ‐ ' ヽ レ'/
下| くヘ _ // 高橋名人だってゲームは1時間って言ってるのに……。
\\_入 '´ ̄ /'`
< _ノ> 、 /l
 ̄兀l ― ' ト、{. 水無月家の当主として、
_ノハ / 廴_rr┐ ちゃんと守っていただかないと――。
/` Y´ {ノ / l |「 ̄\
/ : : l | / l |l: : \
/ : :/| r― rーァ――ァ /l |l: : ヽ
{ . : :l:.::| ゝ-〉 ー|_{ー 〈― '゙ :l |l: : ヽ
____
/⌒ ー、\
/( ●) (●)\
/::::::⌒(__人__)⌒:::::\ ハア? なに言ってるんだお?
| |r┬-/ ' |
\ `ー'´ /
女は従順だった。だが、こと家のしきたりに関しては、頑として譲ろうとしなかった。
やる夫と女は激しく口論した。
87 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2008/11/24(月) 00:05:08.04 ID:MWUtEVLC0
____
/ \
/ _ノ ヽ、_ \
/ o゚((●)) ((●))゚o \ なんなんだお……。
| (__人__) |
\ ` ⌒´ /
____
/ \
/ _ノ ヽ、_ \
/ o゚⌒ ⌒゚o \ インターネットも自由にできないこんな世の中なんてポイズンだお……。
| (__人__) |
\ ` ⌒´ /
____
/⌒ ⌒\
/( ●) (●)\
/::::::⌒(__人__)⌒::::: \ だからネカフェに遊びにいってくるお!!
| |r┬-| |
\ `ー'´ /
89 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2008/11/24(月) 00:08:40.24 ID:MWUtEVLC0
/||ミ
/ ::::||
/:::::::::::||____
|:::::::::::::::|| || ガチャ
|:::::::::::::::|| ||
|:::::::::::::::|| ||
|:::::::::::::::|| ̄ ̄\ ||
|:::::::::::::::|| ノ ヽ_\
|:::::::::::::::||●) (●) \
|:::::::::::::::|| (_人_) | (外でるって言うと、嫁も姑もうるさいお……)
|:::::::::::::::||___ /
|::::::::::::::(_____ノ´||
|::::::::::::::(_ノ / . . . ||
|:::::::::::::::||/ ||
|:::::::::::::::|| ||
\:::::::::::|| ̄ ̄ ̄ ̄
\ ::::||
\||
やる夫はこっそり裏口から屋敷を出た。
92 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2008/11/24(月) 00:10:48.57 ID:MWUtEVLC0
《 ネットカフェ 》
____
/⌒ ⌒\
/(ー ) (ー )\. 徹夜してネトゲしてても文句いわれない……、
/::::::⌒(__人__)⌒:::::ヽ
| |r┬ | (ヽ | 最高だお!!
\γ⌒=/⌒ヽ_(⌒ |/
/ ( ^=/ / ヽ ノ\
| / ,(⌒ヽ/ \
ヽ_ノ ー '
____
/ \
/ \ ,_\
/ (●)゛ (●) \
| ∪ (__人__) | だけど、いままでずっと錯覚してたけど……、
/ ∩ノ ⊃ /
( \ / _ノ | | やる夫はやる夫、あの屋敷の主人じゃないお。
.\ “ /__| |
\ /___ /
やる夫はこれまでの呪縛が解けたように、本当の自分を思いだした。
93 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2008/11/24(月) 00:13:09.34 ID:MWUtEVLC0
_____
. <´ ` マ
ヽ /
|-‐ __ ー--|
ー…''"~ ̄  ̄ーァ. こまちは今頃どうしてるんだお?
r彡-',.ィ ̄ ̄~" 'ー)ソ.、
7イ〃(●) (●)/!川 ……ダメもとで、家に行ってみるお。
| (__人__) |
/ ∩ノ ⊃ /
( \ / _ノ | |
.\ “ /_ | |
. \ /___/
やる夫は、かつて交際していた女の所へむかった。
96 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2008/11/24(月) 00:15:34.40 ID:MWUtEVLC0
, <二二.._¬‐、
// , -―‐ 、\ \
/ / /__, = 、 丶! ヘ
' l/ | lト、|∧ l ヘ
l |l l| レチTV l l
| l|」,ィ´ l ィ示V l l. ……久しぶりね、やる夫くん。
l l Kyf心 , `¨´}/l l
l l lヽ ゞ'´ 丶 , / / .:/ いままで、どこに行ってたの?
ヽヽ ヽ:::ト、 ` ´ /}レノリ>'´ ̄\
,ヽVVレヘハ}下、∠. / _, - ヽ
/r―ァッ、_以>、{廴」/, -― =- 、 }
/7/ //  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄` \ ,.ィ /
/ / ヽ、! {___ /´ ̄ /
____
/_ノ ヽ_\
/( ●) ( ●)\ ちょっと変な体験したんだお……。
/ ::::::⌒(__人__)⌒:::::\
|  ̄ |
\ /
やる夫は郊外にある屋敷と、そこで暮らした日々を話した。
98 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2008/11/24(月) 00:17:39.41 ID:MWUtEVLC0
/ l / l| u ,.イ 〉 〈l \ / l| l |
,' /|' | /_ノ 丶 _\__,/_ U l |
,' ,'_」L -‐T ´ _./二二`¬l/|
,' l l | , ‐ 二二. ー , -―ァャ=、y | l
l l l _y'´ /{ ,ハ / { ヌY l そんな、嘘みたいな話……。
l l l イ l/ト- く l l l /トイくl l l
l l | l l V しノv゙ l V´しノV l ,' 信じられませんよ。
! ! l l li 、 _ > '´ .:l ‐-ゝ--< l / . l .
! i l Nハ ´ ′ !/ /l ハ // /: l .
l ! l |ム /l/ハ ヽ u/イ /: : l . :
l ',: : :!\l ´ / l/: : : l: : :
! : : : : l: : ハ /: : : : l: : :
! : : : : :l: : : :\ }ァ ┐ /. : : : : : : :
____
/⌒ ⌒\
/(ー ) (ー )\ まあ信じられないのも無理ないお。
/::::::⌒(__人__)⌒:::::ヽ
| |r┬ | (ヽ |. 当のやる夫だって、なんだか狐に化かされたような気がするお。
\γ⌒=/⌒ヽ_(⌒ |/
/ ( ^=/ / ヽ ノ\
| / ,(⌒ヽ/ \
ヽ_ノ ー '
100 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2008/11/24(月) 00:19:46.57 ID:MWUtEVLC0
/ -――- 、 `ヽ
, ' /-  ̄ ̄` 、\ ' ,
/ /'´ _, -、\ \ ヘ ヘ
.' / 「´ ヽ|ヽ ト、 ヽ| : ',
' ハ| L.∟.,l_ : ,
l 1 L. '´「≧斥N:. l .: l ……でも、面白そうね。
l : |'´y元、 ' 弋rり`l::. l :.: l |
l : K」Vfり `¨´ !:::. l:: ::: リ ちょっと、行ってみない?
l : l ヘ ¨´ j! l|::: /.:: .:: /'
l :.:.:.`ト 、 ` ー = ´ l|:::/.:::/イ
l ::::::.ヽ::> .._ /j/ イ:./l 小説のネタにもなりそうだし。
\ト、:::.\ー-`トrf´ _∨_:ヽ
`¨` /:::j / ,.-|― ヲ'、
//j,/ / l _Vヽ.
/|/ / /ヽ _ \}_
____
/ \ ( ;;;;(
/ \ /\) ;;;;) まだ趣味で小説を書き続けてるのかお。
/ (●) (─ /;;/
| (__人__) l;;,´| べつに構わないお……。
/ ∩ ノ)━・'/
( \ / _ノ´.| |. その前に、やる夫はこまちに
.\ " /__| |. 言わなきゃいけないことがあったんだお。
\ /___ /
102 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2008/11/24(月) 00:23:12.19 ID:MWUtEVLC0
____
: : /::: : \
/:::::: : ; _ノ′
/::::::::::::: : : ∪ :::(●
|:::::::::::::..: : : "`(__)
\、:::::::: : : :. /´ 実は、やる夫はこれまで泥棒だったんだお……。
)::::::: : : : :.. . ィ
/::/:⌒ヽ::: :. ヽ. 今日からきちんと足を洗って、カタギになるから、
i::l::::::... |:::: : : | 結婚を前提に、また付き合って欲しいんだお……!!
|::|::::::: |::::::::: : |
|:|::::::: |::::::: : :. |
i〆::: /::::::: : : |
ヾン´:::::::::: :: l
/ / , /\\\ \ 丶 ∧
/l/ l /-‐'´ l |ヽ |ヽ ヽ ∧
,' l l ,l/'´l/ ̄ l`ト、 l ∧
,' ト. l //,ィ土ェ._、|/l l l l
l l | ヽ /´ /:l `ト、l l l l l ――いいわよ。
l トl/´ Vトrイ N l l l
l l Vヽ,.ィヤ、 ゞ:ツ l | l l l , ……ずっと待ってたの。
l l:. l / 代.ノ! , l l / / /
, l::::ヾ ゞシ 〉 , , ' / / やる夫くんがいなくて、淋しかったんだから。
, l::::::::ヽ` ヽ .. イ / /イ / /
ヽ',:::::::::::.、 くl | / // / /
ヾ、:::::::::\ 丶 .ノ /イ/ /イ
\::::::::::::` ‐- ... _ / / レ´l:::::::l
\:::::::、::::::::::::::::| l:::::::l
``丶ヽトトヘ:l !,不:',
109 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2008/11/24(月) 00:28:21.09 ID:8TVs6HH+0
浦島太郎展開かと思ったぜ
安心した
110 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2008/11/24(月) 00:30:07.33 ID:84fsINO90
ホラー漫画で似たようなのがあったな富士の樹海に住んでるやつ
111 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2008/11/24(月) 00:30:16.72 ID:MWUtEVLC0
゚ | ・ | .+o ___* o。 |。| *。 |
゚ |i | + /_ノ ' ヽ_\ | |! |
o。! |! ゚o /(≡) (≡)\ | * ゚ | う、嬉しいお!!
。*゚ l ・/::::::⌒(__人__)⌒:::::\ |o ゚。・
*o゚ |! | |r┬-| | + *| 勇気を出して告白してよかったお!!
。 | ・ o \ `ー'´ / *゚・ +||
|o |・゚ > | *。* |
* ゚ l| / | | +|
|l + ゚o / ._ | *゚・ || ・ |o
-――-
/ -――- \
/ /-―――‐-\ \
/ , -‐--‐-、 ',
/ / // ', ', ', ',
/ l l /l' _ _l| l l
l |:l, ィ---' 'ー-Nl l l
l |イ´l | l l
l l , === ===!/l l ふふ、大袈裟なんだから。
, |l "" { "" /l '
', lム /´ヽ ┐ /'´ /
\ l:::>/ 厶__}ノ.<! /
ヾ{ /| }{-、::l/
/⌒ ーr一' ,' r、〉l `ーr- ⌒ヽ
/ ` l ヽ__/ lレ'ノ / | - ',
l l /`\ /r-r―‐┐ l l
そしてふたりは、郊外にある屋敷へとむかったのだった。
114 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2008/11/24(月) 00:34:23.41 ID:MWUtEVLC0
_i_ _/:::|_ i |::::: i __ /ヽ\ ____________
| ヽ |:::::::: | i i::::::: i ____ |::::::i i /..:::::ヽ \i i i i i i |
_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,_,__,_,_,_,_,_,_,_/~\\\,\\______________; ...|
/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/ニ日ニ\\/,,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;.//ヽ
/;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/!| |/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,// ヽ\
/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/| |,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;/,,,;;// 三 ヽ\
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| :|王||王i |ニi ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |三三三|
ゞ;ミゞ |王|王| . || |王|王| . | |ニi |王|王| . || |王|王|. |三ノヽミゞ;;;
ソミゝ:ミゞ!LLLi .|| .'LLLLLLi. .| |ニi :.LLLLLLi || LLLLLLi |三;;;ミ;;ヽミゞ;;
;ノ:;:ヽミ;:;ミゞ;;; || i=======i====i . . . . || . . .|:ニノミヽミゞ;;;
ソ;ノ:;ミ;;ゝミ;;::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|| ̄ ̄ ̄|| ̄ ̄:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;ソミヽミゞ;;;ミゞゞ
ソミゝミゞ;;;; .. .i^^ii .i^^ii ;ノノii;;;ヽミゞ;::;;
i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄|: |i |: |i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄
.~i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i~i: |i'''''''''''''''''''''''''''''''''|: |'~i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄i ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄' ' ' ' ' ' ' ' ' ' ' ' ' ' ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
___
, ァ'´ ̄ ̄ ´゙丶
, ' / ,ィ/`ヽ _ ヽ
/ /l/‐|、 jハ ',
,' /j」ヒエ、 -、/} l
l |.::l トrイ! ≠、ソ| 立派だけど、変哲のない家ね。
| .:l:::l `¨´ { ヒシ リ: l
l{::::::l:::ハ ' /.::/ ねえ、入ってみましょ?
Yソノ::l\ - /.::/
/ :/_`ト-r≦.::;::/
/ :/__/ ̄\ '´
/ :/ / l
/ .:/ { | li
115 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2008/11/24(月) 00:37:27.17 ID:MWUtEVLC0
___
/ \
/ u ─ ─\
/ u (●) (●)\ なんか嫌な予感がするお……。
| (__人__) .|
\ ` ⌒´ /
ヽ , __ , イ
/ -―――- 、\: : : \
///: : : : :_:、: : : : : \', : : : ヘ
//: : : /ー' l: l : : : : : :',: : : : l
,: : : : l:l l:ハ: : : : : :|: : :| ちょっと前まで泥棒だったのに、意外に臆病なのね。
l: : : : l:| _,. ー|―l:ハ: : : : : : : :|
|: : : :イ_ ィ=!ミl : : : : : : : l 大丈夫よ、入ってすぐ出るだけだから。
l: : : :l:レ=ミ ' ' '| : : l : : : /
、: : :l:|' ' ' } | : : |: :/
\: : \ `_ イ / :/イ
丶: : > `二 ノイl\:|
ヾ{ /| / \ _
/ ̄ ノ \/ // \
そう言って、こまちは屋敷のなかに入っていった。
118 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2008/11/24(月) 00:40:09.91 ID:MWUtEVLC0
,rィ≡=、_,,.、、-‐r‐-、、.,_
,イ;:;:/;:;:;:ィ'¨´ ̄``'´` ̄``ヾ、
j;:;:;:;:;,ィ´ ー- 、 _,,、-‐ ヽ
カ;:;:/;,. ,二ニ、 ,ィニ二、 i
,レ'´ ;:;、 / ヽ 7´ `, !
,ノ レ;、. 〈 ・ } ,{ ・ ,j .! あっ、こんなところにいた!!
ゝ 'ト、. ,:' `ト、 ,ィ´ .|
,〉'´ ミ三≡''´ 、 ゞ三彡 l 隣の人はお友達かい?
/ `, r‐-、 ,!l
/:;`、 ヽ ,イ / ゙i、 まったく、心配したんだから!!
,/:;:;:;:;:;i `ヽ、 ´ ,ィ´ |;l
/;:;:;:;:;:;:;l ``''ーt‐'´ 'フ,イ |;i、
,!;::;:;:;:;:;:;:;| /^i , -‐っ ゝ, // ! ,ィ'´I´`Ij;:;:|
!;:;:;:;:;:;:;:;:;,i! V´ ,r'"つ 、 ``´ / ,j ;! I ,I:|i;:;l
,' /' /,イ ト、 l ',
l /l/ l l l1 l
l / l ! U l l ! !
l ,'|__」__l__ ___」_」_l l
| l´「 」二l二 二l二.」´l: | えっ?
| l|,ィ´,ィ ハ ハ ム`V: : : |
l : l l {弌少} l {弌少} l: : : . l ;
l i l ! `~~~´ :! `~~~´ l: : : : ' ,' ……ちょっと、手を放してください!!
! l| . : l', l "" ,.:| "" /!: : :/: ./
', l: : : l-、 __゙_ u. /〃: :/: :/
', l: : : :',:::>、 `二 ´ //: : /: :/
',ト : : : V l:::ト、 /!::/: : /://
\: :', /´l ` ー ´ j/l: : //
/ ̄ >、___\\ l| / //'´___, <  ̄\
119 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2008/11/24(月) 00:42:28.22 ID:MWUtEVLC0
___
/)/ノ ' ヽ、\
/ .イ '(●) .(●)\ なにやってんだお!!
. /,'才.ミ). (__人__) U\
. | ≧シ' ´ ⌒` |
. \ ヽ /
,rィ≡=、_,,.、、-‐r‐-、、.,_
,イ;:;:/;:;:;:ィ'¨´ ̄``'´` ̄``ヾ、
j;:;:;:;:;,ィ´ ー- 、 _,,、-‐ ヽ
カ;:;:/;,. ,二ニ、 ,ィニ二、 i
,レ'´ ;:;、 / ヽ 7´ `, !
,ノ レ;、. 〈 ・ } ,{ ・ ,j .!
ゝ 'ト、. ,:' `ト、 ,ィ´ .| なにって……、彼女は水無月家の娘ですから。
,〉'´ ミ三≡''´ 、 ゞ三彡 l
/ `, r‐-、 ,!l
/:;`、 ヽ ,イ / ゙i、 申し訳ないですが、これは私たちの家庭の問題。
,/:;:;:;:;:;i `ヽ、 ´ ,ィ´ |;l
/;:;:;:;:;:;:;l ``''ーt‐'´ 'フ,イ |;i、 お引き取り願います。
,!;::;:;:;:;:;:;:;| /^i , -‐っ ゝ, // ! ,ィ'´I´`Ij;:;:|
!;:;:;:;:;:;:;:;:;,i! V´ ,r'"つ 、 ``´ / ,j ;! I ,I:|i;:;l
,!;:;:;:;:;:;:;:;:;:;| ,ィ'´つ \/ / j .i! i!.|ト;:|
そう言って、老婆はこまちを屋敷の中に入れ、やる夫を門の外へ強引に連れ出した。
すさまじい力であり、邪魔をするなとのメッセージがこめられているようだった。
123 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2008/11/24(月) 00:45:55.96 ID:MWUtEVLC0
/ ̄ ̄ ̄ \
/ :::::\:::/\
/ 。<一>:::::<ー>。 なんだおこれ……、
| .:::。゚~(__人__)~゚j
\、 ゜ ` ⌒´,;/゜ ありえないってレベルじゃないお!!
/ ⌒ヽ゚ '"'"´(;゚ 。
/ ,_ \ \/\ \
と___)_ヽ_つ_;_ヾ_つ.;._
どれほど門を叩いても家からは反応がなかった。
やる夫は仕方なく帰り、こまちの帰りを待った。
127 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2008/11/24(月) 00:47:53.34 ID:MWUtEVLC0
____
/ \
/ ─ ─ \
/:::: (●) (●) \
|::::::::: (__人__) | 一週間たっても帰ってきた形跡がないお。
\::: ` ⌒´ ,/
/⌒ヽ ー‐ ィヽ もう一回、あの屋敷に行くお……。
/ rー'ゝ 〆ヽ
/,ノヾ ,> ヾ_ノ,|
| ヽ〆 |´
やる夫は意を決して、郊外の屋敷へと行った。
129 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2008/11/24(月) 00:51:03.70 ID:MWUtEVLC0
インターホンを鳴らすと、女が玄関にあらわれた。
それはこまちの姿だった。
/: : : : : : / l | l V: : : : : : : :',
/: : : : : : / l__ -‐十ー|、 V: : : : : : : l
,: : : : : : : l/j | | \: : : : : : :|
|: : : : : : :イ _ _ l: : : : : : :|
|: : : : : : :l| y≠示 示≠ミx |: : : : : : :!
|: : : : : : :|/ 廴ノ | l 廴ノ | V: : : : : : :| ……どちら様ですか?
|: : : : : : :l1 弋tり | 弋tり l : : : : : :|
l : : : : : : lハ ´ !l ` l: : : : : : /
∨: : : : : lハ lノ l: : : : : :/
V: : : : :ト l l: : : : :/
V: : : ハ: :ヽ. ノ二ゝ /: : :/
∨: : : :\: \ ⌒ /ヘl: : /
\: : : : V^ノ\ / |Ⅳ/
__, -\ト |/ / |` ー ||/\
/ / // / / | j| l /\__
/ / | l / / / / / / \
____
/ノ ヽ、_\
/( ○)}liil{(○)\
/ (__人__) \ やる夫だお!!
| ヽ |!!il|!|!l| / |
\ |ェェェェ| /
131 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2008/11/24(月) 00:52:15.60 ID:Lii0VFZI0
星新一って面白いけど4割から5割くらいの話はオチが弱いと思う
132 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2008/11/24(月) 00:52:59.66 ID:9r05X42G0
>>131
逆に考えるんだ、5~6割はオチがいいんだ
134 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2008/11/24(月) 00:55:15.15 ID:MWUtEVLC0
/ , /,'⌒ ー、 ヽ
/ / /l / / 1ハ ',
, / /匕土十' l l: l
:.:. ' /イ'´ ハ`ヽ _ゝ._ l l| | ええ、用件はわかってます。
|:.:.: l:. l トrイリ f ヌY` /| |
l:.:.:.:|:.. | ゞ:ツ トr:タ } /:::! | ……いま、主人を呼びますから。
:.:.:.:l:.l:.:.:.:.:.:.| | { ゞ' /:::::| |
';.:.:.l:.l:.:.:.:.:.:.| r-、__´ ,::::::::| |
ヽ:.N:.:.:.:.:.:.lヽ `二" /:::::::::j l
)'::\:.:.:..l \ . <:::::::::::::/:. /
/::::/¨ 丶j |`"´ `ヽ:/.:./
/::::::::/ \ j\ j/
____
/ \
/ _,ノ ⌒ \ ……ふぅー、困ったものですなあ、やる夫さん。
/ (●) (●) \
| 、 ´ | しょうがない。――こまち、彼にお金を渡してあげなさい。
\  ̄ ̄ /
135 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2008/11/24(月) 00:55:57.43 ID:MWUtEVLC0
____
/_ノ ヽ、\
/( ●) (●).\
/ (__人__) \
|ni 7 ` ⌒´ . |n (な、なに言ってるんだお……)
l^l | | l ,/) l^l.| | /)
', U ! レ' / . . | U レ'//)
{ 〈 ノ /
..i, ."⊃ rニ /
."'""⌒´ `''""''''
だが意思とは裏腹に、この屋敷のなかにいると、やる夫は金の無心が目的であるかのような気がしてきた。
やる夫は金を受け取ると、何度も頭を下げて礼を述べた。
136 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2008/11/24(月) 00:56:38.26 ID:MWUtEVLC0
/ ⌒`"⌒`ヽ、
/,, / ̄ ̄ ̄ ̄\ ……ありがたいお。
/,//:: \
;/⌒'":::.. |⌒ヽ これで、なんとか生活できますお。
/ /、:::::... /ヽ_ \
__( ⌒ー-ィ⌒ヽ、 /⌒`ー'⌒ )
━━━`ー──ゝィソノー‐ヾy_ノー─"
____
/ ノ ⌒\
/ (●) (●)\
/ __´___ \ いえいえ、困ったときはお互い様ですから。
| `ー'´ |
\ /⌒)⌒)⌒) //⌒)⌒)⌒)
ノ | / / / (⌒) / / / / さ、彼を玄関まで見送ってやりなさい。
/´ | :::::::::::(⌒) ゝ :::::::::::/
| l | ノ / ) /
ヽ ヽ_ヽ /' / /
ヽ __ / / /
137 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2008/11/24(月) 00:58:21.05 ID:MWUtEVLC0
/ \
/ _ -――- .._ ∧
/ / _.. -――- . _ \ ハ
/ // ,. -‐--‐ 、 \ ヽ l
/ /' / // | ト、 \! l
l / /l/ _ _ l/ l | l ……わかりました。
/ l / /_..ノ丿 丶 ト、.._l l| l
/ lィナT´ ̄ ! ̄ `ナl l ハ
/ | l l_y=≠=、 =≠= 、 l| l l |
| l | lN/ 代イノ 代ィ个イ l l l
|ハ. | lトト ` ¨¨´ | `¨¨´/l l l l
丶V l::::'、 {i /イ / / /
\v从\ ,.ィヽー-ァ /.:/ '/レ'
_,.ィ´/'1//⌒) _ .. <人イ/-、
,.イ ̄ ̄ \./////〉 /Y ノー / / |
こまちは困った親戚だとでも言わんばかりに、侮蔑の目でやる夫を見た。
そこに、やる夫の帰りをずっと待っててくれた女はいなかった。
138 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2008/11/24(月) 00:58:44.22 ID:MWUtEVLC0
, .ニニニ. 、
//-―――-\\
/ / , イ´ ̄` ̄ヽト. ヽ ヽ
/ / / |ト、 ハ
/ |-― ―-/.」 l |
' /j.ィ≠ミ ィ=ミレ!l l
l l l| _匕ノ :! 匕」ノV l l
l | l| {| `¨´ // l さようなら、やる夫さん。
, i l ! _ /イ l l
', :l lー、 ´ニ` //.:/ /
ヽト、!:::::\ /7.:/ /
\:::l ` ー '´l:::::/イ/
}::l i::l´
_ /`丶 !;j
/ ` ーく \/ \
/ l } r―‐-ム-‐┐T⌒ヽ
_____
/ \
/ ─ ─ \
/ \
| ::::::(ー)::::::(ー)::::u:: | さよならだお……。
\ (___人___) /
>  ̄ <
. / \
/ i | i
やる夫は金を大事に抱えると、淋しそうに屋敷の門をでた。
141 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2008/11/24(月) 01:00:51.02 ID:MWUtEVLC0
,ィ爪 ノ乃、
___ _,. -‐ァァ'!fT}l{Tf'!ァァ‐- 、_ ___
_________________|_____| ,.ィ´i l | | | | |乂|||乂| | | | | l i`ヽ、 |_____|______
______________ |┬┴|/l | | | | | | | | |乂|||乂| | | | | | | | | l\|┬亠| ________
_l__l__|┴┬||| | | | | | | | | |乂|||乂| | | | | | | | | |||┴┬|__l__l_
__l__l_|┬┴||| | | | | | | | | |乂|||乂| | | | | | | | | |||┬亠|_l__l__l
_l__l__|┴┬||| | | | | | | | | |乂|||乂| | | | | | | | | |||┴┬|__l__l_
__l__l_|┬亠||| | | | | | | | | |乂|||乂| | | | | | | | | |||┬亠|_l__l__l
_l__l___ |┴rー|,」_|_|_|_|_|_|_|_|_|_|込|||込|_|_|_|_|_|_|_|_|_|,」_|┴rー| ___l__l_
__l____l___「 ̄ ̄|,」_|_|_|_|_|_|_|_|_|_|,」_|||,」_|_|_|_|_|_|_|_|_|_|,」_「 ̄ ̄|_l__l__l
, -────- 、
/. : : : : : : : : . . \
/:: : : : : : : : : : : : : : :. \
/:: : : : : : : : : : : : : : : : : ::. \
/:: : : : : : : : : : : : : : : : : : : ::.; \
|::.: : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.:.:.:.:: |
|::.: : : : : : : : :.: :. : : : : : : : : : : :.:: |
\::.: : : : : : .:.: :.: : : : : : : : : : :.:: /
\:.:、: : : ::ヽヾ:.: : : : : : 、::. /
/: : : : : : : : : : : : : . \' ´
/: : : : 、:.: .:,: : : : : : : : : .. \
./: : : : : : ::.: : :.:: : : : : : : : : : ::.. ヽ.
|:.: : : : : .:: :: ::. : : : : : : : :.:: : : :.:.. l
l::.: : : : .:;ノ::.:.::.ヾ、:: : : : : ::y:::.: : :: |
やる夫はゆっくり振り返った。
だが、屋敷の門の鉄格子は固く閉まり、いかに押しても、もはやあかなかった。
やる夫は金を握りしめると――もう二度と、屋敷の生活に戻ることはできないことを悟ったのだった。
142 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2008/11/24(月) 01:01:28.66 ID:MWUtEVLC0
,ヘ ,:ヘ.
/: : \ /:: ! このAA物語はひどいデキだけど、
/::::..... \--―‐'.:.:::... !. 原作は傑作だから、ぜひぜひ読んでね。
/:::::: ',
,':::: i ちなみに似たような話の、クルト・クーゼンベルクの
.i:::: ''''''' ''''''' ! 『瓶の中の世界』に収載されてる『どなた?』もオススメだよ。
!:::. (●), 、(●)、 !.
|::::.. . ,,ノ(、_, )ヽ、,, l
i;::::.. ノ ___,,,:: -イ ! _,-,.、
':;::::... ヾ二--‐</ / .i´ヽ い {,-ゝ.
_ \:::::.... ヽ..__,,/ / l ,人 __,!...!_}ゝ l
/ `ヽ `ゝ:::::........ ....../_ ヽ. '´ ` /
i::..... ;\!..-ー 、 /⌒ヽ 、\ / ァ-- '
` '''''ー- 、::::/ ,.. . `/::: 〉‐ 、 \ \ . / .:/
/\___/ヽ
/::::::: \
.|:::. '''''' '''''' |
|::::.,(一), 、(一)|
.|::::::: ノ ,,ノ(、_, )ヽ、,, |
\:::::.ヽ`-=ニ=- ' /
/ `一`ニニ´-,ー´ ……みんなごめんね、うまく作れなくて。
/ | | / |
/ | | / | | ~ 「やる夫が帰りたい家を失ったようです」 完 ~
/ l | / | |
__/ | ⊥_ーー | ⊥_ ___
| `ーヽl_l_l.} ヽl_l_l.}
(、`ーー、ィ } ̄` ノ
`ー、、___/`"''-‐"
144 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2008/11/24(月) 01:02:05.50 ID:Pff8kpIb0
乙乙!
145 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2008/11/24(月) 01:02:21.28 ID:PtjV/TJ+0
乙おもしろかったぜw
148 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2008/11/24(月) 01:03:19.61 ID:LcIGpWui0
面白かった 乙
150 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2008/11/24(月) 01:03:25.42 ID:l4mWsdcy0
むしょうにできる夫を殴りたかった
乙
152 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2008/11/24(月) 01:03:35.90 ID:YbnCCDcD0
乙彼
星新一はSF系が面白い
154 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2008/11/24(月) 01:04:30.11 ID:MWUtEVLC0
支援ほんとうにありがとうございました!!
147 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2008/11/24(月) 01:03:11.29 ID:OyYwhfVM0
眠りたいの人?
>>147
そうです。
156 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2008/11/24(月) 01:05:58.82 ID:OyYwhfVM0
あの人か。また頼むよ。
乙
159 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2008/11/24(月) 01:07:03.15 ID:lfp8/R+40
>>154
おつでした
また書いてくださいね、ダディさん
163 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2008/11/24(月) 01:14:05.89 ID:WxM8CsFj0
>>154
了解したw
4本は全部読ませて貰ってる
次作も期待してるよ!
160 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2008/11/24(月) 01:07:39.80 ID:WkEre/JX0
乙。活字で読むのとはまた違って面白かった
161 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2008/11/24(月) 01:08:45.06 ID:+cV2ian10
乙かれっしたー
162 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2008/11/24(月) 01:09:43.53 ID:MWUtEVLC0
この『門のある家』という作品は、星先生のショート・ショートで俺が一番好きな話なんです。
どこまでも不条理なストーリーが、子供心にすごく覚えてる。
なのにあんまりうまくできなかったなあ……星先生のファンの方、申し訳ない。
165 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2008/11/24(月) 01:16:59.39 ID:MWUtEVLC0
今度はゲーム系だけど長編にも挑戦しようかなって思ってます。
あんま面白くないと思うけど、そんときはよかったら見てくださいな。
166 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2008/11/24(月) 01:18:09.71 ID:fQFhJhWz0
何をやるかは聞かないでおこう
乙
170 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2008/11/24(月) 01:29:04.24 ID:MWUtEVLC0
たびたびになりますが、温かい支援ありがとうございました!!
ちょっと自省しつつ寝ますw
では~ノシ
167 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage]:2008/11/24(月) 01:18:54.26 ID:Zw5QIowm0
>>1
乙
次回も頑張れ!
おもしれえ,最後ちょっとわからんかったけど
>>1乙管理人乙
???意味が分からない、こまちはビッチなの?
星新一はこういう評判を見る限りすごく面白そうなんだけど、
欝展開が多そうで怖く、近づけない。
不思議で切ない感じだな
作者、管理人共に乙
>>15で気付いた星新一
名作ショートショートをAA化しよう
ttp://www.toofectarts.com/videoshelf/shortshort/sorted_index.html
作者さん乙よぉ
ゲーム系も期待してま
世にも奇妙な物○みたいで面白かった
こえー話だなぁ
結局立場が固定のまま、プレイヤーが順次入れ替わっていく物語なのか
そして現状に飽きたら勝手に出ていくと
思ったんだが、これって不幸になる人間がいないんじゃね?
>>8
ちゅうか世にも奇妙な物語は元々は星新一の原作多いだろ。筒井康隆もあったっけ。
※3
鬱というか
何だろう、へっぽこ?なオチだよ
鬱にはならんよ
※2は本当にかわいそうだ
星、筒井、阿刀田あたりは定番だったような。
米3
星先生の小説の中で、欝な落ちの話は数えるほどしかないな。
たいていは軽く読める話ばかりだから、安心して読んでいいと思うよ。
短編集と間違えてエッセイ集買わないように気をつけてね。
「ようこそ地球さん」か「マイ国家」、「ボッコちゃん」あたりがお勧め。
誰か筒井の作品をAA化キボンヌ。
最高級有機質肥料製造機か顔面崩壊か宇宙衛生博覧会を完全にAA化できたら神と呼んでやるぞ。
帰りたい家とはどっちの家のことだったのか…考えるまでもないか
>>14
そのあたりはw
AAでやるなら富豪刑事あたりでも面白くなりそうなんだがな。
なるほど
これを島本和彦が描くとワンダービットのヤマモトになるのだな
鬱と言っても藤子F先生ほどじゃない
あの絵柄でやられるとホント死にそうになる
まあ星先生と結構ネタ被ってるんだがw
かれんもやらない夫の彼女だったのかなぁ・・・。
へ~、面白そう。今度買ってみるか。
深読みできるタイトル
俺は好き
若いうちに星新一を読んでおくといいよ
「処刑」とか「殉教」は傑作 どちらもようこそ地球さんに収録されてる
今回はやる夫スレとしては微妙かな、あんまりキャラを生かせてない
原作頼みって言われないためにも、次はがんばってくださいな
中学の英語の教科書で星新一のショートがのってたけどけっこう鬱なオチだったよww
知ってる人いる?
これは…いいんじゃない?
これ、見たことある
落ちが微妙だったのが印象だった
米17
ワンダービットはあの内容且つカラーで連載していたのが凄いな
米14
出来るかそんなもん。と思うが
顔面崩壊くらいならダディあたりでそこそこいけるんじゃないかと・・・
いかん、舌の先がむずむずしてきた。
米14
最高級有機質肥料は、名作ショートショートをAA化しようにあるよ
ttp://www.toofectarts.com/videoshelf/shortshort/sorted_index.html
筒井御大といったらやっぱり「睡魔のいる夏」だよな
静まりゆく町の情景がヴィヴィットに浮かんでくる
ちなみにこれも名作ショート・ショートをAA化しようにあるぜ
これ時間が経てばこまちもそのうち屋敷から出てくるんじゃない?
屋敷の生活には戻れなくてもこまちとの生活には戻れるんじゃない?
米29
微妙な出来だな・・・。
小説版に挿絵付けただけとしか・・・。
うーん…前三作のほうが面白かった
何度かこのサイトにまとめられた作者だからって
この程度のを取り上げなくてもいいんじゃないの
作者もうまくいかなかったって言ってるし
普通に面白かったと思うけど。
※2
そういうタイプの話はよくあるんだよ。
たとえば
主人公がわけのわからない形で行方をくらましても
そういう話で、
複雑な恋愛で終わってしまっても
そういう話ですむんだよ。
今回は奇妙な屋敷の話として考えるといい。
星新一で鬱の話ってのは少ないんだよなー
BADENDはたくさんあるけど、切なかったり虚しかったりシュールだったりする
悲しくて嫌な気分になることはほとんどない
星新一は登場人物の無個性で記号な所がいい所だからなぁ
AAでやるには無茶だわ
マイナー小説が元ネタで短編だけだった作者が今度はゲーム系で長編に挑戦する。
なにを選ぶか気になるな。
※24
タイトル忘れたけど、穴に色々捨てる話だっけか
あんまり捻りは無いけど、珍しくハッピーエンドな「夢魔の標的」が好きだなー
※40
「おーい でてこーい」
話の内容は合ってる。
なんとなくあの屋敷がいつからあるのかだけ気になった
なんだかおそろしく昔から同じ光景が繰り返されてる気がする
違う人で
星新一はまごう事なき天才だからなぁ。
読んだことのない人は絶対読んだ方が良い。
人生損しているって言い切れるレベル。
スタンド名:????
能力:敷地に入り込んだものをこの家の住人にする。一度家を出たものは二度とこの家の住人になれない。
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